サン・ジョセップ・クレマ・カタラーナ
この料理がいつカタルーニャ地方で生まれたのか正確なところは不明だが、14世紀に出版されたカタルーニャ語の偉大なレシピ本(あらゆる種類のポタージュに関する本)には、すでにリュイセル(卵入り煮ミルク)のレシピが載っていた。リュイクセルは、ヤギのミルクを2割り、溶き卵を1割り入れて煮た後、ミルクにとろみがつくまで何度も冷まして作るものだった。レシピでは、新しい銅鍋か大鍋を使うことが推奨されていた。
18世紀から19世紀にかけて、砂糖、牛乳、卵から作られたクレマ・カタラーナは、特定の祝日に上流階級だけが食べることができた。このデザートはメリンドロスと一緒に出され、砂糖とシナモンが振りかけられていた。 クレマ・カタラーナはやがて、家族の食事や祝日の定番となり、特に聖ヨセフの日には、このデザートの現在の名前の由来となった。
その砂糖とシナモンのトッピングは、熱した鋳鉄製のサラマンダーで焼かれ、パリパリの上皮ができる。 美味しいクレマの秘訣は、上質の牛乳、新鮮な卵、そして弱火の組み合わせにある。クレマ・カタラーナに似たレシピは世界中にたくさんあるが、カタルーニャ地方では最も華やかで人気のある料理である。
伝統:
エル・ディア・デル・パドレ、オ・サン・ジョセップ
イエスの父である聖ヨセフは、13世紀にDia de Sant Josep(聖ヨセフの日)が祝日になるまで、西洋の教会史では見過ごされてきた。しかし、カタルーニャ地方では、ヨセフは今も昔も人気のある守護神である。サン・ジョアン(聖ヨハネ)やサン・ジョルディ(聖ジョルジュ)と並んで、ジョセフは最も人気のある聖人の一人である。 3月19日の聖ヨセフの日には、カタルーニャ全土で父親を祝い、デザートに自家製のクレマ・カタラーナを用意する習慣がある。 この風習は、四旬節の断食明けを祝うために生まれたもので、牛や羊が豊富な乳を出す一方で、断食のために卵が家に山積みになる時期と重なる。クレマとマト・チーズは、サン・ジョセップ記念日の2大デザートとなった。